日米安保体制と沖縄問題について
我が国は、激動する国際社会の中にあって戦後半世紀近くにわたり平和と繁栄を享受してきたが、これは、我が国自身の防衛努力とあいまって、日米安全保障条約が抑止の体制として一貫して機能してきたことが大きな要素であることは否定できない。
日米安全保障条約は、今や広範な国民的支持を得て、国民の間に深く定着している。
今日、国際社会は安定的な国際秩序を確保するための努力を続けており、今後とも、我が国はこの日米安全保障条約体制の維持を国政の基本としている。そのような中にあって沖縄は本土復帰後も日米安全保障体制の下で実質的に過重な負担を担ってきた。日本全国の面積の0.6%を占めるに過ぎない沖縄に米軍基地の75%が存在して、高密度の軍事活動が展開されることに伴い、様々な影響が沖縄の経済と民生に生じている。
日米安全保障体制は、日本が全体として国の安全の確保のために選択した基盤であるから、安全保障に関する量的・質的負担は、本来国民が等しく担うべきものである。その負担が沖縄のとりわけ基地所在市町村に集中している実情を鑑み、これらの地域住民の人々が直面している困難な問題の改善のためには、国全体として特別の配慮が講ぜられるべきであると考える。
それと同時に沖縄の米軍基地・施設用地の継続使用問題はある意味では切り離して考えるべきである。嘉手納飛行場など12の米軍用地の使用期限が5月14日に切れる。そうした事態になれば、米国が日本を守り日本が米国に基地を提供するという日米安保条約の根幹が崩れ、日米関係そのものが重大な危機に陥る。日本の平和と安全、ひいてはアジア・太平洋地域の安定にも深刻な影響を与えかねない。安全保障体制は本来、一瞬たりとも揺らぎがあってはならない。そのためにも「日米安保堅持」の立場を共有する各政党は問題解決に積極的に協力すべきである。
ことの緊急性を考えれば、沖縄県収用委員会は可能な限り速やかに審理を進めるべきである。
使用期限が切れても、収用委が審理している間は米軍用地の使用を継続できるようにするという最小限の法改正は必要であり、国の根幹である安全保障を確保するためには必要やむをえない措置だと考える。
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