世界週報 1992年2月25日  

世界平和をリードする真の大国に

 日本がこれから国力に見合った責任を、国際社会において果たそうとすれば、積極的に国際新秩序の構築に参加して、世界平和に貢献していくべきです。日本は平和国家を標榜していながら、これまでその実現に向けて現実的なプランを立ててこなかった。世界平和なくして、日本の経済繁栄も続くわけがありません。世界平和は、わが国にとって守るべき最大の国益です。世界が認める経済大国となった日本は、世界平和の一方的な受益者の立場から脱却すべきなのです。
 また国際的責任や義務を実行し、世界の平和維持システムに積極的に参加・関与し、世界平和をリードする国として、国際社会の中で生きていくことを自覚しながら、その立場を行動で世界に示さなくてはなりません。そのための行動として、国連平和維持活動(PKO)が考えられます。
 PKOは、すでに40年の歴史を持ち、国際社会の平和と安全維持のために、多大な貢献をしてきました。1988年にはノーベル平和賞を授与されています。わが国も平和維持軍と停戦監視団の二つからなる国連の平和維持活動に参加すべきなのです。
 日本国憲法でも、日本が「正義と秩序を基調とした国際平和を誠実に希求する」ことを定めており、国際社会で、名誉ある地位を占めたいならば、日本もPKOに積極的に参加をするべきです。
空想的一国平和主義をひたすら唱えていれば、世界の平和が実現するという意識から目覚めて、積極的平和主義の国を目指すべきです。昨年ペルシャ湾に派遣された海上自衛隊の掃海部隊の活躍などは、積極的平和主義を行動で示したものと言えるでしょう。
 それと同時に、自衛隊が海外に派遣されるということは、いつか来た道に逆戻りしてしまう危険があるといった情緒的な議論を排し、今日の時代と世界の中の日本のあるべき姿を模索しながら、PKOのように目に見える国際新秩序安定のための貢献を地道に積み重ねていくべきです。そうすることによって、国際的信頼を得ることができるのです。
 21世紀に向けて、世界平和をリードする真の大国として行動することが、日本にとって国際新秩序維持のための貢献プランの一つではないでしょうか。

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