憲法記念日
(平成16年5月3日) |
毎年、憲法記念日になると、マスコミが憲法論争の記事を掲載します。読売・産経新聞の論調は「改憲」、朝日・毎日新聞は「護憲」の立場をとる報道をしています。
「改憲」派、「護憲」派それぞれの立場で集会や大会も開かれています。「改憲」派は『日本国憲法は不磨の大典ではなく、時代にふさわしい憲法に改正するべきだ」、「護憲」派は『日本は日本国憲法によって、平和が守られてきた、世界に日本国憲法の精神を広めるべきだ』という意見に大方、分かれています。
政党別に見ると、自民・民主党が「改憲」、公明党が「加憲」、社民・共産党が「護憲」に色分けすることができます。
今でこそ、社民党(旧社会党)や共産党は憲法改正反対の「護憲の党」のイメージがありますが、昭和30年の左右統一前の左派社会党綱領には、政権を握った後の「憲法改正」と、新聞、出版、放送などを対象とする言論統制が明記されています。つまりは社会党は理想的な社会主義憲法の制定をめざし、「護憲」は、それまでの暫定的なものと位置づけていました。
共産党の場合は憲法制定議会で、日本国憲法に反対した唯一の政党であり、施行されてから今日まで、一度たりとも日本国憲法に賛成していません。共産党が強く主張しているのは「憲法改悪阻止」であり、昭和21年に「日本人民共和国憲法(草案)」を決定し、天皇制を廃止し、自前の軍隊を持つ人民共和国国家を樹立することを目指しています。
世界の181カ国の現行成典憲法を調査すると、149カ国の憲法に「平和主義条項」が導入されています。
(詳しくは自著『機は熟した! 甦れ、日本再生』に記載しています)
日本国憲法だけが平和憲法ではありません。世界に向かって「日本国憲法の精神」を広げていきたいとういう行動は、あまり、意味を持ち得ないと思っています。日本の学生が海外で「日本は世界で唯一、平和憲法を持った国です」と自信を持って発言したら、馬鹿にされたという話さえあります。
(各国の憲法の「平和主義条項」は1928年の不戦条約に由来しています)
私は憲法問題は、イデオロギーや感情論で議論するのではなく、独立国家として常識的な見解・議論をするべきであると考えています。そうすれば、自衛権(集団的自衛権)問題もすっきりと整理できるのではないでしょうか。
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